全編に渡って、重い話でしたけど、不思議と読んでいてつらいとは感じませんでした。昼過ぎに読み始め、夕食を食べながら読み進め、帰宅後も読み止めることができずに午前2時頃に読み終えました。暗い話、と、読んでいてつらい話、は全然違うようです。
とにかく、読むのがつらくなるほどドン底まで落ちる寸前に次の救いが用意されるので、耐えることができました。その「我慢しきれないところまでは落とさない」さじ加減が絶妙だと思うわけです。すごいな。
あまのじゃくな俺は、読んでいる最中に「実はお兄さんから送られていると思われている手紙は実は別の人から?」とか「実はすでにお兄さんは刑務所内で亡くなられている?」とか無駄に深読みしてました。
まあ、そんな凡人の憶測は当たるはずもなく、そして、安易に登場人物を殺して感動を誘うような陳腐な真似をこの小説家がするはずもなく、ラストはご都合主義的な奇跡は起こらずに淡々と終わりました。
巻末の解説文(井上夢人)にあった「作者は、物語の至るところに鏡を用意して待っている。読者は、ギクリとしながら、鏡の中で立ちつくしている自分を見せつけられることになる」という言葉が非常に言いえて妙だと思えました。多分、これが、読んでいる最中の不安感だったんだろうな、と。
○余談
全然関係ない話。上記の解説文を書かれた方の名前を漢字変換しているとき「ゆめひと」を変換したら「由愛人」となって、あれ?、と。
確認して見たら「ゆめ → 由愛」という変換候補があるんですね。人名として、のようです。レアすぎないだろうか。
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